子どもの主体性とは?自主性との違いやなぜ必要かを教育の専門家が解説
「自分から考えて動いてほしいのに、いつも指示待ちになってしまう」
我が子のそのような姿に、戸惑いを覚える保護者の方は少なくありません。
「主体性が大事」とはよく聞くものの、具体的に何を指すのか曖昧なまま過ごしている方も多いでしょう。主体性とは、決まったルールがない状況でも自ら考え、選び、行動する力のことです。
この記事では、主体性と自主性の違いから、主体性が今の時代に必要とされる理由、子どもに主体性が生まれない原因までを専門家の視点から解説します。あわせて、家庭で今日からできる具体的な関わり方も紹介していきます。
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子どもの主体性とはなにか?

「主体性」という言葉は、自主性や自律性と混同されがちです。まずは似た言葉との違いも含めて、主体性とはどのような力なのかを整理していきましょう。
子どもの主体性とは「自ら選び、決めて動く力」
主体性とは、ルールや正解が決まっていない場面で、自分の目的意識にもとづいて何をすべきかを選び取る力です。たとえば、公園で友だちと遊ぶか、先に宿題を終わらせるなど、些細な選択の場面にも、主体性はあらわれます。
大切なのは、やりたいことをただ選ぶだけではありません。選んだ結果どうなるかを考え、自分の行動に責任を持てるかどうかも、主体性の重要な要素なのです。
主体性と自主性の違い
自主性とは、すでに決まっているルールや義務に対して、指示される前に率先して取り組む力を指します。一方の主体性は、何をすべきか決められていない状況で、自ら考えて行動する力です。
たとえば、朝起きて言われる前に顔を洗うのは自主性のあらわれでしょう。反対に、自由な時間に自分なりの新しい遊びを考え出す姿は、主体性の一例といえます。
この2つは対立する概念ではなく、自主性を積み重ねた先に主体性が育っていくと考えられています。
子どもの主体性はなぜ必要?3つの理由

主体性がなぜここまで重視されるのか、疑問に感じる方もいるかもしれません。理由を知ることで、日々の関わり方にも納得感が生まれるはずです。ここでは、主体性が必要とされる3つの理由をご紹介します。
- 変化の激しい時代を生き抜く力になるから
- 自己肯定感や自己効力感の土台になるから
- 社会に出てからも求められる資質だから
詳しく見ていきましょう。
変化の激しい時代を生き抜く力になるから
AIやIoTなどの技術が急速に進化する、いわゆる第四次産業革命の時代を迎えました。総務省が行った「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」によれば、AI活用が一般化する時代に求められる能力として「主体性」を挙げる回答が最多だったと報告されています。

前例のない状況でも自ら判断し、行動できる力である「主体性」こそ、これからの時代を生き抜くのに欠かせない力だといえるでしょう。
自己肯定感や自己効力感の土台になるから
自分で選び、その選択を認めてもらう経験を重ねると、子どもは「自分は決められる」という自己決定感を持てるようになります。この感覚は自己効力感につながり、失敗を恐れず新しいことに挑戦する姿勢を育みます。
たとえば、自分で選んだ習い事に取り組み、小さな成功体験を重ねた子どもは、次第に新しい挑戦にも前向きになっていくものです。主体性と自己肯定感は、互いに支え合う関係にあるといえるでしょう。
社会に出てからも求められる資質だから
2018年に経団連が実施した新卒採用に関するアンケート調査では、選考時に重視する資質として「主体性」を挙げた企業が64.3%にのぼり、10年連続で2位となっています。指示を待つだけでなく、自ら課題を見つけて動ける人材が、今後さらに求められていくと考えられます。
たとえば、就職活動の面接でも「自分で考えて行動した経験」を問われる場面は少なくありません。子どものうちから主体性を育んでおくことは、将来の選択肢を広げる一歩になるはずです。
子どもに主体性が生まれない原因

主体性は放っておいて自然に育つものではなく、環境や関わり方によって妨げられてしまうこともあります。ここでは、主体性を阻害しやすい3つの原因を、オーストラリアのカーティン大学の研究の内容をベースに見ていきましょう。
参考:The Role of Autonomy Support and Autonomy Orientation in Prosocial Behavior Engagement
制限や規制が多い環境にいるから
自分の行動をある程度コントロールできる環境に置かれると、子どもは主体性を発揮しやすくなります。反対に、決まりごとが多すぎたり、何でも「ダメ」と止められたりする環境では、主体性が育ちにくくなってしまうのです。
たとえば、公園での遊び方まで細かく指示されている子どもは、自分で判断する機会そのものを奪われているといえるでしょう。
報酬や罰則によってやる気が促されているから
「テストで100点を取ったら〇〇を買ってあげる」というような報酬でのやる気づけは、短期的には効果があるように見えます。しかし長期的には、主体性を損なうリスクがあると指摘されています。
報酬の有無にかかわらず、自分の関心にもとづいて物事を決め、進める経験こそが主体性を養うといわれているのです。
身近な他者との関わりがうまくできていないから
親や先生など、子どもにとって重要な他者との関わりも、主体性に影響を与えます。家族との会話が少ないと、子どもは孤独感や不安感を抱きやすくなるでしょう。
そうした状態が続くと、自分の意志を信じて行動することが難しくなってしまいます。
以上、子どもに主体性が生まれないとされる3つの原因を解説しました。「うちの子に主体性がないかも…」と思われた方は、いまいちどご紹介したような環境になっていないかチェックしてみてください。
参考:The Role of Autonomy Support and Autonomy Orientation in Prosocial Behavior Engagement
主体性がある子どもの行動・特徴の例

主体性がある子どもは、日常のどのような場面でその力を発揮しているのでしょうか。具体的な行動例を通して、イメージをつかんでみましょう。
状況に応じて、自分で選択肢を考えて行動できる
ルールや指示がない場面でも、自分なりに考えて選択肢を出し、行動に移せるのが主体性のある子どもの特徴です。宿題と遊び、どちらを先にするかなどの些細な場面にも、主体性はあらわれます。
「今日は友だちと遊ぶ約束をしているけれど、宿題も終わらせたい」というとき、主体性のある子どもは、遊ぶ時間と宿題の時間をどう配分するかを自分なりに考えようとするでしょう。誰かに指示されて動くのではなく、自分の頭で状況を整理し、納得したうえで選ぶ姿勢がそこにはあります。
こうした小さな判断の積み重ねが、成長とともに「自分で考えて動く力」として育っていくのです。
興味・関心から自分で目標を立てて取り組める
誰かに指示されるのではなく、自分の興味をきっかけに目標を見つけ、そこに向かって取り組もうとする姿も、主体性のある子どもによく見られる行動です。
たとえば、恐竜図鑑を眺めているうちに「もっと詳しく知りたい」と感じ、図書館で関連書籍を探し始めるなどが挙げられます。この行動は、誰かに促されたものではなく、子ども自身の内側から生まれた目標です。
最初は小さな興味であっても、自分で「知りたい」「やってみたい」と感じたことに向かって動き出せる子どもは、目標に対して主体的に関わろうとしているといえるでしょう。こうした経験は、勉強や習い事における目標設定にも良い影響を与えていきます。
選択の結果を受け止め、次の行動に活かせる
選んだ結果がうまくいかなくても、それを他人のせいにせず、自分の選択の結果として受け止められる点も、主体性のある子どもならではの特徴です。
たとえば、自分で選んだ習い事が思っていたより難しく、思うような結果が出なかったとしましょう。主体性のある子どもは「やめたい」と投げ出す前に、「どうすればもっとうまくできるだろう」と考え、次の行動につなげようとする傾向があります。失敗を誰かのせいにするのではなく、自分の選択として引き受けられるかどうかが、指示に従うだけの自主性との大きな違いです。
子どもの主体性を育むためのポイント
主体性は、家庭での日々の関わり方によって育てられます。ここでは、明日から意識できる4つのポイントを紹介します。

子どもに勉強や習い事などの活動の目的やそれらの目標について説明する
なぜその活動が重要なのか、どんな意味を持つのかを子どもに伝えることが大切です。「将来やりたい仕事に就くために、今の勉強がつながっている」というように、具体的な理由を伝えてみましょう。
こうした説明を重ねることで、子どもは自分の意志にもとづいて行動しやすくなっていきます。
子どもに選択肢を与え、自分で決定する機会を与える
子どもが自分で決めることができる範囲を広げることが重要です。例えば、宿題の順番や勉強時間など、子どもが自分で決められることがあれば、その活動に対する意欲や関心が高まるでしょう。
また、子どもが自分で決めたことに責任を持つことで、自己決定性が高まります。親は子どもに選択肢を提示し、その中から選ぶよう促すことで、子どもの主体性を育てることができます。
子どもの意見や気持ちを尊重する
子どもが自分で決めたことをことを褒めたり、尊重することで主体性を育てることができます。
例えば子どもが自分で本を選んだ時や習い事やクラブ活動に参加することを決めた時に、「いい本を選んだね」「素晴らしい選択だったと思うよ。」「よく決断したと思うよ」といった声がけが効果的でしょう。
これによって、子どもは自分の行動に対して自信を持ち、主体的に行動を取りやすくなるでしょう。
子どもの努力の過程をサポートする
子どもが自分で決めた目標などに向かって努力する過程でサポートもすることも必要になります。
例えば、宿題のやり方やスケジュールの立て方についてアドバイスしたり、子どもが自分で選んだ習い事やクラブ活動に参加することをサポートし、その選択の成果を褒めることで子どもの主体性を高めることが期待できます。
これらの取り組みは、子どもの主体性を高めるだけでなく、親子関係の良好な発展にもつながります。
家庭の関わりだけで、主体性を促すのが難しいと感じたら
ここまで紹介したポイントを意識しても、「うちの子にはなかなか響かない」「毎日忙しくて工夫する余裕がない」と感じる保護者の方も少なくありません。主体性は家庭だけでなく、第三者からの働きかけによっても伸びていきます。
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家庭では気づきにくい子どもの興味や強みも、専門的な視点から見ると、思わぬ形で主体性の芽として見えてくることがあります。まずは体験授業で、お子さまの様子を実際に見てみませんか。
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子どもの主体性とは「自ら選び、決めて動く力」である

子どもの主体性とは、決まっていない状況でも自ら考え、選び、行動する力です。制限しすぎず、選んだ結果を尊重するといった積み重ねが、変化の激しい時代を生き抜く土台になっていきます。
今日、子どもが何かを自分で選ぼうとした瞬間があれば、それを見逃さずに認めてあげてください。小さな一言の積み重ねが、いずれ大きな自信と行動力に変わっていくはずです。
もし家庭だけでのサポートに難しさを感じたら、20年以上にわたり子どもの可能性を引き出してきたFive Keysの専門的な視点に頼ってみるのも一つの選択肢でしょう。
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- 井上 顕滋
非認知能力開発の専門家。
心理学・脳科学をベースに、20年以上にわたり子どもから経営者まで「人の可能性を引き出す指導」を行っている。
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