子どもに罰は必要だが注意も必要。子どもが我慢できない時の対応とは?
子どもに厳しく対応してしまったり、いうことを聞いてほしいと罰を与えてしまったことがあるかと思います。
しかし、子どもに罰を与えて、厳しくするあまり、子どもが逆に反抗的になってしまったり、何度も同じことに注意しても効果がない、本当に罰は必要なのか、と悩んでいる人も多くいらっしゃいます。
子どもの社会性を育てる上で罰を与えることは必要ですが、罰をどのように与えるかについて注意する必要があります。
今回は、子どもにどのように罰を与えるべきかについて解説します。
約60%以上の親が子どもに対して「感情的になりすぎた」ことで後悔

ベネッセコーポレーションの調査では、約8割以上の親が子どもへの言動で後悔した経験があります。その中でも、60%以上の親が「言い方が良くなかった」「感情的になりすぎた」「叱りすぎた」と感じています。
親たちの望みはすべて同じ、それは子どもが自立した、幸せな大人に成長してくれることです。しかし、厳しさの度合いをどの程度にするべきか、悩む親は少なくありません。
つい感情的になって子どもに対して怒ると、子どもにとって合理的ではなかったり、なぜ怒られているのかわからないまま、子どもは精神的苦痛を感じてしまうこともあるかと思います。
参考:8割以上の保護者は叱りすぎてしまったことを後悔している!
なぜ子どもに罰が必要なのか?

子どもに対して厳しくすることは、エネルギーを消耗する行為であり、可能であれば避けたいものです。しかし、子どもがいうことを聞かない時や悪さをした時、しつけとして罰を与える必要があります。
タフツ大学の人間開発の教授の著書によれば、愛情のある罰(しつけ)は子どもの発達に有益であるとされています。
親が子どもの成長を考え、罰やしつけを与えることによって、子どもは年齢を重ねるにつれて、自分をコントロールする自己調整能力が高まり、社会にうまく適応できるようになります。
社会では多くの法律やルールに従って生きていく必要があります。例えば運転する場合には交通ルールを守る、会社で働く場合には就業規則を守るなど、ルールのもとで私たちは生活しています。
また明確な法律やルールが決められていなくても、他人に迷惑をかけない、他人を傷つけてはいけないなどは、子どもの頃に叱られたり、罰を与えられたりした経験をもとに善悪の判断ができるようになるため、子どもの頃から厳しくすることは非常に重要であるといえます。
もちろん、子どもに厳しくしたり、必要に応じて罰を与えることは体力を要したり、精神的に苦痛を感じたりするものですが、子どもの将来にとって重要な教育なのです。
参考:
子どもが悪いことをしたり、我慢できなかった時の親の対応について

子どもに罰を与えるといっても、ただ感情的になって厳しくしたり、意図的に子どもに不快感を与えても効果はありません。子どもがいうことを聞かない時はついカッとなってしまいますが、一度深呼吸をして落ち着き、冷静な対処をする必要があります。
以下では子どもが実際に我慢できなかったり、注意しても改善しない場合に、どのような対応をするべきかについて解説します。
タイムアウトを実施する
シドニー大学の研究によれば、子どもが望ましくない行動をした時には、「タイムアウト」という方法が有効とされています。タイムアウトは日本では馴染みがないかもしれません。
タイムアウトとは、子どもが問題行動をした場合に、子どもを別の場所に移動させ、一定時間そこに留まらせることで、子どもがクールダウンする時間を作る方法です。
研究によれば、タイムアウトを実施する際には、以下が重要とされています。
- 子どもの年齢や発達段階に合わせた時間や場所を選ぶこと
- 明確なルールを設定すること
- 子どもになぜ注意されているかの理由を説明すること
- タイムアウトが終了した後に子どもと話し合うこと
タイムアウトは、親子関係を強化する手段として効果的です。しかし、タイムアウトを実施する際には、正しく実施することが重要であり、誤った方法で実施すると効果がないとされています。つまり、子どもの発達段階や個性に合わせた適切なサポートが必要ということです。
トレードオフな状況を作る
私たちが子どもの時にも「宿題が終わるまでテレビを見せないからね」と叱られたことはあるかと思います。
オクラホマ州立大学の研究によると、子どもが自分の行動に対して責任を持つことを学ぶためには、「権限を剥奪する」という手段が有効です。具体的には子どもが望ましくない行動をしたときに、ある種の特権を一時的に取り消すことです。
例えば、子どもが宿題をしなかった場合、親が子どもにテレビを見る権利を与えないようにします。これにより、子どもは自分の行動が望ましくない結果を生んだという事実を理解し、次回からは宿題をするようになることが期待されます。
このように、子どもが自分の行動に責任を持つことを学び、自己管理能力を向上させる手法として有効であるとされています。
子どもの行動を把握し、一貫性を持ってルールを設計すること
子どもが善悪を正しく判断するためには、まず親が子どもの行動を把握し、より的確な指導や助言を提供することが必要です。
また親が設定するルールや規律は一貫性を持つべきです。一貫性があるルールにより、子どもは何が許されていて何が許されていないのかを明確に理解し、自分の行動を適切に調整することができます。
ルールに一貫性が欠けると、子どもは自分の行動がどのような結果をもたらすか理解できなくなり、親が決めたルールを守ることを疑問視する可能性があります。
まとめ
子どもに善悪について分かってほしいと思うあまりに厳しくしてしまうこともよくあるかと思います。その際にただ罰を与えてしまうと逆効果になってしまいます。
子どもを指導する際には、今日紹介した方法を参考にしながら、なぜそれをやってはいけないのかを冷静かつ合理的に説明することで子どもも善悪の境を理解できるようになるでしょう。